顧客ニーズの調査・分析方法を分かりやすく解説 | ビジネス | DataVehicle

コラム

顧客ニーズの調査・分析方法を分かりやすく解説

「顧客ニーズに応える」「顧客ニーズを理解する」など、マーケティングのシーンでは頻繁に「ニーズ」という言葉が使われます。顧客ニーズの把握は企業が生産やプロモーションを行ううえで欠かせないものですが、顧客ニーズ調査と聞いてすぐにその方法がイメージできる人は少ないのではないでしょうか。この記事では、顧客ニーズとはなにか、その調査方法や調査の際の注意点について解説していきます。

顧客ニーズ調査・分析とは

なぜ顧客ニーズ調査が必要なのか?

顧客ニーズとは、顧客の欲求のことをいいます。ニーズは以下のように分けられます。

  • 顕在ニーズ:顧客が自身の「ウォンツ(wants=欲しい、したい)」についてはっきりと自覚している状態
  • 潜在ニーズ:はっきりとした自覚はないものの、何らかの形で欲している状態

このうち企業活動で重要なのは潜在ニーズの調査・分析です。潜在ニーズは顧客自身にも言語化できていないため発掘には苦労しますが、企業のマーケティング活動など、外部からの働きかけによって掘り起こされることも少なくありません。

顧客の潜在ニーズを調査・分析することで企業の生産戦略・販売戦略に活かし、競争力を高めることができるのです。

顧客ニーズ調査のメリット

顧客ニーズを調査することにより、次のようなメリットが得られます。

●新製品・新サービスの開発に活かせる
顧客ニーズがない領域で新製品を出しても、費用ばかりがかかって赤字にを生むリスクがあります。調査によって顧客ニーズの大きい領域を発見できればヒット商品を生むことができ、競争力アップにつながります。

●既存製品の改良にも役立つ
顧客ニーズ調査は既存製品の改善時にも有効です。調査により改良の優先順位や方向性がわかり、ニーズに合わせた改良を積み重ねていくことで他社製品との差別化につながります。

顧客ニーズ調査で重要な「抽象化」

顧客ニーズを探るときに重要なのが「抽象化」です。

顧客があるモノを欲しいと言ったとき、その言葉のままに捉えるだけでは本質的なニーズまで理解することはできません。

ここで、フォード・モーター・カンパニー社の創設者であるヘンリー・フォードの言葉を例に考えてみましょう。

フォード氏は、「もし顧客に欲しいものを聞いたら『もっと速い馬が欲しい』と答えていただろう」という言葉で、「顧客は自分が欲しいものをわかっていない」と指摘したといいます。

つまり、顧客自身に欲しいものの自覚がないのだから、顧客ニーズ調査など無駄であるという趣旨での発言と考えられます。

「顧客は自分が欲しいものをわかっていない」というのは真実なのでしょうか。そして、顧客自身がわかっていない以上、企業が顧客ニーズを探ろうとするのは無駄なことなのでしょうか。

結論から言えば、顧客ニーズを調査する意味は大いにあります。

確かに顧客の言葉にそのまま応えようとすれば、企業は馬の改良に取り組まなくてはならないでしょう。しかし、顧客の本当の希望が「もっと速く移動したい」ということで、馬そのものにこだわりはないということがわかれば、他の移動手段の提供でも顧客ニーズを満たせることがわかってきます。

このように、顧客から発せられる具体的な要望を抽象化していくことで、潜在ニーズを発見することができるのです。抽象化をうまくできるかできないかが、ニーズ発見の分かれ道ともいえるでしょう。

顧客ニーズの調査・分析方法

潜在的な顧客ニーズを探るには、インタビュー調査や行動観察を繰り返し実施することが有効です。具体的に見ていきましょう。

1.インタビュー調査(オープンクエスチョン)

消費者にインタビューすることでニーズを探る方法です。この段階では「はい/いいえ」で回答するクローズドクエスチョンよりも、自由に回答してもらうオープンクエスチョンが有効です。
例えばクローズドクエスチョンで「●●のような商品が欲しいですか?——はい/いいえ」といった問答を繰り返しても、顧客の本当に欲しいものにたどりつくのは簡単ではありません。

オープンクエスチョンで「どんなことに困っていますか」「どんなものがあれば便利ですか」などの質問に自由に答えてもらうことで、顧客の欲するものにたどり着きやすくなります。

2.行動観察

消費者の行動を観察することで、インタビューではわからなかった顧客ニーズを発見できることがあります。

例えば、キッチングッズの顧客ニーズを知りたい場合、消費者がキッチンで料理をする様子を観察し、どんなことに困っているのか、何があれば助かるのかを分析していきます。

3.インタビュー調査(クローズドクエスチョン)

オープンクエスチョンと行動観察を通してある消費者のニーズを発見しても、それが多くの消費者にとってのニーズと一致するかは未知数です。製品化をするにはそのニーズが一定量以上である必要があります。そのボリュームを探るため、再びインタビュー調査を行います。

この場合、クローズドクエスチョンが有効です。上記1、2で発見されたニーズを提示し、「〇〇のような商品があれば使いたいですか」といった質問に「はい/いいえ」で回答してもらいます。

すると、どれくらいの人がそのニーズに共感しているのかを定量的に把握することができ、製品化するのか見送るのかの判断材料になります。

上記1~3の手順を組み合わせたり繰り返し実施したりすることで、顧客ニーズの発掘とそのボリューム把握が可能になります。

顧客ニーズ調査の注意点

顧客ニーズ調査を行ううえでの注意点について解説します。

調査相手に対して先入観を持たない

まず重要なのが、調査相手のことをわかった気で取り組まないということです。行動観察をする際にも、調査者側に「こういうものだろう」という先入観があると、消費者がそれと異なる行動をとっても見落としやすく、ニーズに気づきにくくなります。

調査の際には、調査者は「自分は何も知らない」という気持ちで取り組むとよいでしょう。相手に対する思い込みを捨てて観察することで、何に困っているのか、何があれば助かると思ってもらえるかをフラットに判断できるようになります。

異質なユーザーを調査する

顧客ニーズ調査で意外な切り口や新しいニーズを発見するには、敢えて自分(調査者)とは異質な人を対象に調査を行うことが有効です。なぜなら、自分と境遇が似ている相手を調査しても、その人がどんなニーズを抱えているかは大体想像がついてしまうためです。

性別や年代といった属性のほか、生活圏やライフスタイルの異なる調査対象者から、驚くような発見が得られるかもしれません。

最終的なユーザーを意識する

調査者と最終ユーザーの境遇が似ていない場合、アンケート調査設計時には特に注意が必要です。

例えば、普段家事をしない調査者が家電のニーズを調査するためアンケートを作成するとしましょう。この場合、調査者が家事をする状況について想像しきれていないことから、ユーザーの困り事について尋ねる選択肢をアンケート項目に盛り込めていないというケースが起こりがちです。すると、「本当は困っていることがあるのに、このアンケートでは伝えられない」という状況になってしまいます。

このようなときこそ、行動観察も組み合わせて丁寧に観察・分析を行いましょう。アンケートで発掘しきれなかったニーズを発見しやすくなります。

適切な顧客ニーズ調査が売上向上の鍵

現在、市場には膨大な製品やサービスが溢れ、顧客の望みはなんでも叶えられているようにも思えます。しかし、ライフスタイルや価値観の多様化に伴って顧客ニーズも多様化しており、「まだ商品化されていないニーズ」は確かに存在しています。このニーズを掘り起こして製品・サービスにして提供できれば大きな利益を生むことができます。

顧客自身がうまく言語化できないニーズをいかに発掘するかは企業にとって大きな課題です。適切な調査・分析や抽象化により、顧客ニーズを掘り起こすノウハウを身に付けていきましょう。

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