適切な売上予測方法を具体例を元に分かりやすく解説 | ビジネス | DataVehicle

コラム

適切な売上予測方法を具体例を元に分かりやすく解説

「どうすれば精度の高い売上予測ができるかわからない」「売上予測値と実際の売上がいつもかけ離れてしまう」。そんな悩みを抱える企業は少なくないでしょう。売上予測は経営計画にとって重要な指標であるにもかかわらず、正確に行うのは簡単ではありません。精度の高い売上予測を行うにはどのような点に注意すればよいのでしょうか。この記事では売上予測の方法や精度の高い売上予測を実施するためのポイントについて解説します。

売上予測とは

売上予測とは、過去の売上データなどから、1ヶ月後、半年後といった将来的な売上を予測することをいいます。売上予測値は経営計画や営業戦略を立てる上で重要な判断材料であり、正確性が求められます。

売上予測の目的

  • 経営状態を健全にする

売上予測のいちばんの目的は企業の経営状態を健全に保つことです。企業にとって、「お金が余っている」「お金が足りない」という状況は健全とはいえません。

お金を余らせておくならマーケティングや製品開発などに投資して更なる売上アップを目指すべきですし、足りなければ借金の算段をつけるなどの対策を練って、企業の破綻を避けなければなりません。

正確な売上予測を立てられれば、お金を余らせも切らせもしないように計画を立てられ、健全な経営状態を保つことができます。

  • 社会的責任を示す

上場企業では、企業活動を経営計画通りに進めることが社会的責任であり、市場からの信頼を得る手段でもあります。売上予測を外して経営計画に大きな変更が生じれば、企業イメージに傷がつくリスクもあるでしょう。

売上予測を精緻に行うことでそうしたリスクを避けられ、実現可能な計画を公表して社会的責任を果たすことができます。

売上予測の方法

売上予測を立てる際には先行指標を明確にすることが大切です。

先行指標とは将来の全体的な数値(=遅行指標)に先んじて変動する指標のことで、売上や利益の予測に不可欠です。先行指標が「原因」で売上が「結果」という因果関係と見ることもでき、先行指標が明確であればその変動を見て売上予測を立てやすくなります。

ここではBtoCおよびBtoB営業において、先行指標に基づいた売上予測を立てる方法について基本的な考え方を解説していきます。

BtoC

何を先行指標とするかは企業によってさまざまですが、BtoCでは「客単価」「来店人数」の観察は欠かせないでしょう。また「販促費」「商品・サービスの認知度」も売上との関係さえ示せれば有効な先行指標になります。

客単価と来店人数をもとにコンビニエンスストアの月次売上予測を立てる例を見てみましょう。

一昨年同月と昨年同月を比較し、今年も同じ割合で増減すると仮定します。売上は「客単価×来店人数」で算出しています。

今年同月の売上は10,920,250円で、前年同月比で4.5%増になると予測されます。

BtoB営業

BtoB営業では商談に関するデータも重要な先行指標になります。中でも「商談件数」「成約割合」「平均客単価」は重要な指標でしょう。

この3つの指標に基づいた売上予測の例を見てみましょう。

売上は「商談件数×成約割合×平均客単価」で算出しています。

今年同月の売上は23,718,420円で、前年同月比で8.9%増になると予測されます。

上記2例は最低限の先行指標に基づいたごく単純な売上予測で、実際にはより多くの指標が複雑に関係しあっているでしょう。また想定外の変動要因が加わり予測が外れることも十分にあり得ます。

それでも先行指標を明確にして算出することで、数値的根拠のしっかりした予測を立てることができます。

売上予測の注意点

売上予測はなぜ外れてしまうのでしょうか。また、精度の高い予測を行うためにはどのような点に気をつけるべきなのでしょうか。

予測を外す原因と解決のヒントを見ていきましょう。

予測値に期待や理想を込めている

多く見られるのが、売上予測に期待や理想を込めてしまうケースです。

「今年はなんとしても売上を大きく伸ばしたいので、昨年比150%を売上予測値とする」といったもので、これは売上予測ではなく売上目標といえます。

売上目標は理想が入っているため現実離れした数値になることも多々あります。当然予測を大きく外すことも多く、この数値をもとに経営戦略を立てるのはリスクが伴います。

理想や期待といった「人の思い」を一切排除し、客観的データに基づいた実現可能な予測を立てる必要があります。

経験や勘に頼って予測を立てている

客観的データに基づかず、経験や勘に基づいて予測を行っているケースも見られます。「前期は売上が3千万円だったが、今期は営業部員がよく頑張っているから4千万円に届きそうだ」といったものです。

この場合の「よく頑張っている」は個人の印象でしかありません。また「頑張れば売上が上がる」という考えも数値的根拠に乏しく、単なる予想の域を出ていません。こうした感覚的なやり方では精度の高い売上予測は行えないでしょう。

変動要因を加味した予測を立てる

客観的データに基づいた売上予測を立てても外してしまうことはあります。その原因として、予測を立てる際に売上の変動要因を加味できていないことが挙げられます。

「状況はいつも同じパターンで推移する」という前提のもとに売上予測を立てた場合、状況が安定していれば予測を大きく外すことはないでしょう。しかし実際には、天候や周辺環境の変化などさまざまな要因により売上は変動します。

従来の売上予測ではそういった変動について加味されてこなかったため、変動要因が加わることで予測を外してしまうことが多々ありました。

この課題を解決するためには、はじめから変動要因を加味して売上予測を立てる必要があります。

例えば、売上が予測値に届かなかったことを「雨が多かったため」と理由付けるのであれば、「雨が多い月は売上が〇%落ちる」といった売上予測を立てるようにします。天候に関する変動は、どの時期に起こりやすいかある程度予測できるでしょう。変動要因となるデータは自前で蓄積する以外に外部経由で準備することも可能です。

データを準備して「どんな変動が起こりうるのか」「その変動は売上にどれくらい影響するのか」を詳細に解明していくことが必要です。

あらゆる変動を想定した予測を立てることができれば、売上予測の精度も上がっていくでしょう。

適正な売上予測は客観的なデータ分析から

売上予測がうまくいかずに悩んでいる企業では、予測に希望を含めたり、なんとなくの感覚で行ったりしてはいないでしょうか。その場合には早急な軌道修正が必要です。

売上予測は在庫管理や生産管理、予算管理、人員計画などの経営計画を立てる上で非常に大切な指標であり、予測を外すことが続けば企業の存続に関わる問題にもつながりかねません。

経営判断を客観的データに基づいて行っている企業は、経験や勘に基づいて行っている企業に比べて生産性が5~6%高いと指摘する論文もあります。なんとなくの肌感覚で行う売上予測から脱却し、データに基づいた精度の高い売上予測に切り替えていく必要があります。

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