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コラム

ビッグデータとは?具体的な活用事例を元に解説

「ビッグデータ」という言葉を聞いて、研究領域でしか使われないようなボリュームの大きなデータだったり、個人のPCでは扱えないような特殊なデータだったり、自分たちの生活やビジネスからは遠いものをイメージする人もいるのではないでしょうか。この記事では、ビッグデータの定義や具体的な活用事例を解説します。

ビッグデータの定義とは

「ビックデータ」は、もともと研究領域でデータを収集したところ、その当時のPCのスペックでは処理しきれなかったことからそう表現されるようになったと言われています。

ビッグデータの「3つのV」

2001年、アメリカの調査会社「METAグループ(現ガートナー社)のアナリスト、ダグ・レイニー氏は、ビッグデータには「データの量(Volume)」「データの速度(velocity)」「データの多様性(variety)」の3つのVがあると定義しました。

データの量(Volume)とは、文字どおりデータが大きいということ。データの速度(velocity)とは、データの発生頻度と更新速度の高さを指します。また、データの多様性(variety)はテキストや画像、動画などデータの多様な種類のことをいいます。

データをExcelなどで管理していた場合、データの量や発生頻度、多様性が高まるにつれて、だんだんと管理が難しくなっていきます。そこで、こうしたビッグデータに対応できるような技術が研究されるようになりました。

たとえば、分散処理技術。データの量が大きくなりすぎると、単純な集計処理すら間に合わず、処理が終わりません。そこで、複数のコンピュータにデータを分散させ、これらを並列的に処理させる方法を開発したのです。性能のよいコンピュータ1台を用いても処理できなかった膨大データも、分散処理技術を使うことで対応が可能となりました。

また、データの更新頻度に対応できないといった課題には、集中するアクセスの負荷を分散させるという仕組みが開発されました。データの多様性に関しても、数字や文字列以外の画像や動画といったデータも扱える仕組みも普及していきました。

身近になったビッグデータ

もともと研究領域から生まれた「ビッグデータ」という言葉ですが、その後、インターネットが普及することによって一般にも身近なものとなっていきます。

たとえば、ECサイト。従来、買い物は顧客が実店舗に来て、スタッフが接客し、商品を購入する流れでした。この場合、対象顧客となるのは実店舗の商圏内にいる人たちです。ところが、インターネットの普及によりECサイトが利用できるようになると、ネット上にある店舗に世界中から顧客がやってきます。実店舗のように商圏は限られず、世界中の顧客から購買データが集まるようになったのです。

また、「モノのインターネット」と称される「IoT」の普及もデータ活用を推し進める要因になっています。たとえば、ドコモやソフトバンク、auといった携帯電話のキャリア会社では、GPSを利用して人の移動履歴を集めることができます。人の移動履歴は、集めようと思えばいくらでも集まります。「量」はもちろん「更新頻度」も高く、1秒経てば膨大な量のデータが集まってきます。これも、ビッグデータのひとつです。

身近になったビッグデータですが、米国の調査会社ガートナー社によると、「ビッグデータ」という言葉自体は今後消えていくだろうと言われています。

ビッグデータという言葉が盛んに言われていた2010年頃は、膨大なデータ量を処理したり、発生頻度・更新頻度の高いデータに対応したり、さまざまなデータ形式を扱ったりする場合、高い技術力が必要でした。

インターネットの普及により、ビッグデータの存在が「当たり前」になってくると、人々の関心は「それをどう活用するか」に移りました。投資の対象がビッグデータ技術からデータ活用に変わっていったのです。

ビジネスの現場で得られた膨大なデータを、データ解析の素材としたり、業務自動化につなげたりといった活用の仕方に、今後ますます注目が集まっていくでしょう。

ビッグデータの活用事例

企業のビジネス活動において、ビッグデータをどのように活用しているのか。総務省が発行した「平成27年版 情報通信白書」で紹介されている国内ビッグデータ活用事例を紹介します。

自動販売機で商品サンプル配置際にデータをいかした例

コーヒー飲料を主力商品とするある飲料メーカーでは、データを活用して自動販売機で飲料を販売する際の商品サンプルの配置を決定しています。

このメーカーでは、被験者が実際の自動販売機で商品を購入する際、どこを見て商品を認識しているのかを表す「アイトラッキング・データ」を活用。従来行っていた消費者アンケートの回答に加え、アイトラッキング・データを活用することで、分析の効果が上昇したそうです。

データ活用に取り組む前は、飲料業界では自動販売機の左上に人気商品を陳列することが常識をなっていましたが、このメーカーではデータ分析の結果をもとに左下に注力商品を陳列したことで、売上が増加しました。

農業情報サービスの事業実証の例

航空宇宙エネルギー機器や建機などの総合重機メーカーでは、宇宙開発や気象観測、農業機械等で培った技術を活かし、農業情報サービスの事業実証に取り組んでいます。たとえば、リモートセンシングによる土地や生産物の情報、ローカルアメダスからの気象データ、生産者の日誌やGPSデータなどを収集し、農業生産法人などに提供しています。

このうち、リモートセンシングは、専用のカメラで撮影した画像から植物の活性度合いがわかる技術です。小麦など、農作物の生育状況を把握することができるため、生育の状態に合わせた適切な作業を行うことができます。こうしたデータを活用することで、作物の収量の安定化につながっています。

ビジネスの現場でのデータ活用はますます広がる

今後、ビジネスの現場ではますますデータ活用が広がっていくでしょう。

たとえば、顧客リストやID-POSデータを分析ツールで分析することで、従来よりも具体的なターゲット設定が可能になります。データ分析で明確になったターゲットに向けて広告を作成したり、DMデザインを変えてアプローチすることで、より効果的な営業活動が可能となります。

また、さまざまなデータを分析することでより自社にフィットした人材の採用につながります。採用のプロセスや採用時に所持している資格、採用時の評価などをデータベース化しておくことで、入社後高いパフォーマンスが発揮できそうな人、カルチャーフィットしそうな人を見極める手がかりとなります。

データ活用は、ビジネス課題を解決する手段となり得ます。まずはどんな課題を解決したいか、そのためにどんなデータが必要かを検討するところから始めてみてはいかがでしょうか。

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