パーソナライズで解決可能なビジネス課題を具体例を元に解説 | データサイエンス | DataVehicle

コラム

パーソナライズで解決可能なビジネス課題を具体例を元に解説

国民の多くがインターネットで積極的に情報を得られる現代。デジタル社会において、顧客満足度を向上させるべく活用されているのが、パーソナライズという手法です。パーソナライズによって私たちは「みんなと同じ」ではない、「自分だけの」情報を手に入れることができています。この記事ではパーソナライズとは何か、また企業がパーソナライズを実行する際の注意点などについて、具体例をもとに解説していきます。

パーソナライズとは

パーソナライズとは、インターネットのアクセス履歴やオンラインで登録された顧客の属性(性別、年齢、職業、居住地、趣味等)に基づいて、企業が顧客ひとりひとりに最適な情報を提供する手法のことです。

パーソナライズをすることで、顧客にとっては利便性の向上、企業にとっては販促効果アップが期待できるというメリットがあります。

パーソナライズが注目される背景

なぜいまパーソナライズが注目されているのでしょうか。

●マスマーケティングからのシフト
かつての主流だったテレビCMや新聞広告などのマスマーケディングでは、多様化する消費者の好みに対応しきれないという弱点がありました。そんな中で普及してきたのがパソコンやスマートフォンなどのIT機器です。

IT機器利用者の増加により、テレビや新聞よりもインターネットを経由して情報にアクセスする人が増えていきました。インターネット利用者に効率よく働きかけられるマーケティング手法として、パーソナライズが注目を集めるようになったのです。

●DX時代の到来でますます注目されている
現在、企業が取り組むべき課題はDX(デジタル・トランスフォーメーション)の実現です。DXとは、デジタルとデータを活用することで企業の競争力を上げていく取り組みをいいます。この取り組みのひとつとして、パーソナライズが注目を集めています。

例えば広告を打つ場合、従来はダイレクトメールを大量に印刷して皆に同じ情報を届けるのが主流でした。しかしインターネット利用者の増加により、顧客データを収集してパーソナライズを実施することで、個々のニーズに合った情報を提供できるようになったのです。

●活用シーンはマーケティング分野にとどまらない
パーソナライズは企業における業務改善にも活用され大きな効果をもたらしており、注目を集めています。業務改善の事例については後述しますので参考にしてください。

パーソナライズによって解決できるビジネス課題とは

パーソナライズの活用で解決できるビジネス課題にはどのようなものがあるのか見ていきましょう。

マーケティング:顧客満足度と販促効果の向上

パーソナライズは、主にwebサイトを利用したマーケティングの分野で活用されています。

ECサイトで買い物中に、過去の購入商品や検索中の商品と関連性の高いアイテムが「おすすめ商品」として表示された経験はありませんか?この「おすすめ商品」欄では、皆に同じ商品が表示されているわけではありません。ユーザーの行動履歴をもとにパーソナライズが行われ、ひとりひとりのニーズに合った商品が表示されているのです。

ユーザーがweb上の膨大な情報の中から、自分が求める情報に出会うのは簡単なことではありません。そんなとき、パーソナライズされた情報が提供されることで顧客満足度が向上し、リピーター獲得や売上アップにつながります。

マーケティング:「見せ方」のパーソナライズ

同じ商品をPRする場合でも、
・どんなキャッチコピーやメッセージがより顧客の興味をそそるのか
・どんなデザインのバナーが好まれるのか
といったことも顧客によって異なります。

こうした「ひとりひとりにとっての最適な見せ方」についてもパーソナライズにより発見でき、より効果的に顧客に情報を届けることができます。

業務オペレーション改善

パーソナライズは業務オペレーションの改善にも活用されています。
たとえば、従業員がパソコンで作業をする際、特定の作業員がある作業をする際、どんな情報を利用しているのかをパーソナライズによって判別し、画面の上位に表示させるといった事例があります。

この機能は製造業でも活用されています。顧客から修理依頼を受けた際、慣れた修理スタッフであれば、持参すべきアイテムは経験で分かるでしょう。しかし、慣れないスタッフは経験に頼ることができません。

その場合でも、パーソナライズによって持参すべきアイテムがパソコンに表示されることで、正確かつスピーディーに顧客対応ができます。

パーソナライズ実施の際に気をつけるべきポイントとは

パーソナライズを実施する際には注意すべきポイントがあります。

パーソナライズに適した領域を見極める

パーソナライズは、ユーザー本人が探しきれないほど多くの選択肢の中から情報が厳選・提供される点が強みであり、そもそもの選択肢が少ない場合にはパーソナライズを用いるメリットがありません。

たとえば、本や洋服の買い物では膨大な商品の中からおすすめ情報が提供されることで便利だと感じるでしょう。

では、これがマンションの場合ならどうでしょう。あるユーザーが新築分譲マンションの情報を検索しているからといって、同時期・近エリアで分譲中の新築マンションの情報を提供しても、あまり意味はないでしょう。

なぜなら、ユーザーが求める条件に合う不動産はもともと少ないためユーザー自らによる検索が可能で、わざわざパーソナライズで情報を厳選する必要がないからです。

パーソナライズ実施によって効果が得られる領域であるか、しっかり見極めることが重要です。

ユーザーの感情に配慮する

ユーザーにとって、属性やアクセス履歴に基づいて自分だけの情報を得られることは便利なものです。

しかし、ここでは注意も必要です。

私たちは他人に知られたくないことについてもインターネットで頻繁に検索します。たとえば、健康問題や家庭問題、金銭問題といった個人的で繊細な問題は、他人に相談できないからこそインターネットで調べるという人も多いはずです。

人に知られたくない事柄を検索したあと、webサイト上でそれらに関連する記事や広告が表示されるようになると、ユーザーはどう感じるでしょうか。「プライバシーをのぞかれた」「知られたくない情報をつかまれてしまった」といったネガティブな感情を抱き、企業への不信感につながってしまうかもしれません。

パーソナライズの実行によってユーザーがどう感じるかを考え、内容が繊細なものであるときには情報を表示させない配慮も必要でしょう。

炎上リスクも秘めている

パーソナライズを実行した上で提供される内容には、商品価格や金利なども含まれます。

たとえば、ECサイトでパーソナライズにより優良顧客であると判断した顧客に対して、価格を下げたり特別なサービスをしたりすることもできます。しかしこれが他に知られると、「特定の顧客だけを優遇している」「不公平だ」といったネガティブな印象を与えることもあります。

パーソナライズの活用法によっては炎上につながるケースもあると心得ましょう。

差別と受け止められる場合もある

パーソナライズはwebアクセス履歴だけでなく、属性によっても行われます。そして活用する属性によっては「差別的だ」と捉えられることもあるため注意が必要です。

アメリカでは、人種によってサービス内容を変えると大きな問題になります。日本においても、男女によってサービス内容を変えることで男女差別と受け止められるリスクもあります。

差別と捉えられかねない情報はパーソナライズでの利用を避けるのが安全でしょう。

適した領域でのパーソナライズ実行で課題解決につなげよう

パーソナライズの活用によって、ユーザー側では便利度が増し、企業側ではマーケティング効果向上や業務プロセスの改善につなげられるなど、メリットばかりのようにも思えます。その一方で、パーソナライズを実行する分野や注意点を間違えると、思わぬリスクにつながることもあります。パーソナライズによる最大の効果を得られるため、本記事で紹介したポイントに留意しつつ導入を検討しましょう。

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