CXとは?なぜ今CXが話題なのか歴史的背景も絡めて具体例を解説。 | DX | DataVehicle

コラム

CXとは?なぜ今CXが話題なのか歴史的背景も絡めて具体例を解説。

事業を成長させるには、顧客満足度やロイヤルティを向上させる必要があります。顧客満足度を高めるうえで注目されているのが「CX(カスタマー・エクスペリエンス)」です。より顧客の視点に立ったビジネスが必要とされる昨今。CXが注目されることとなった歴史的背景や、ビジネスにもたらすメリットなどを解説します。

CXとは

CXは「Customer experience(カスタマー・エクスペリエンス)」の略語で、日本語では「顧客体験」を意味します。

顧客が製品やサービスを購入するとき、製品やサービスを提供している企業とはさまざまな接点を持つことになります。製品やサービスの機能や使いやすさはもちろん、それを購入する店でのスタッフの接客態度、店内の雰囲気、購入後のアフターフォローなど、購入にかかる一連の流れの中で顧客はさまざまな体験をします。

製品やサービス自体から得られる価値だけでなく、購入前後の体験を通して価値を得ることで顧客満足度の向上につなげることが注目されています。

UXとの違い

CXと似た言葉で、UXという言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
UXは「User Experience(ユーザー・エクスペリエンス)」の略で、ユーザー体験とも呼ばれます。

CXとUX。どちらも、顧客の体験を対象としていますが、CXは製品・サービスの購入を通して顧客が得られた体験のすべてを指すのに対し、UXは製品・サービスを使用することで得られる1つ1つの体験を指します。

たとえば、次のようなプロセスで製品を購入・使用するとしましょう。

1.広告を見て企業の製品ページを確認する
2.ECサイトで口コミを見る
3.ECサイトで製品を購入する
4.製品が届く
5.製品を使用する
6.製品のアフターフォローを利用する

CXの場合は1〜6までの一連のプロセスすべてを1つの体験として捉えるのに対し、UXは6つプロセスをそれぞれ1つ1つの体験として捉えます。つまり、UXが積み重なったものがCXになります。

CXの歴史的背景

CXという概念は、アカデミックの世界では1980年代には提唱されています。消費者心理についての研究論文が掲載される「Journal of Consumer Research」という学術誌で1982年に発表された論文では、CXを「顧客が、ある企業と接点を持つときに体感するすべてのイベントのこと」と定義しています。

購入プロセスのすべてと定義している点で現在のCXの考え方とほぼ同じですが、ビジネス領域で定着しはじめたのは2000年代に入ってからです。

2000年代に入っての大きな変化はスマートフォンの普及でした。スマホを持つことで、SNSをはじめとするインターネットサービスに誰でも容易にアクセスできるようになります。これによって顧客の生活スタイルや嗜好は多様化していきました。

インターネットが普及することで、SNSなど企業が顧客に向けて直接アプローチする機会は格段に増えました。また、顧客側からも口コミやレビューといった形で製品・サービスについて発信できるようになり、これまで企業側から一方通行だった発信が、顧客との相互発信に変わっていったのです。

このように、企業と顧客との接点が増えたことでCXが注目されるようになりました。

顧客が製品やサービスの購入を通じてどんな体験をしたか、どんな価値を感じたか。接点から得られたデータを分析することで、顧客ひとりひとりの価値観に沿ったアプローチをすることが、競争優位に立つための重要な要素となっています。

CXのメリット

業がCXに取り組むことで、次のようなメリットが得られます。

・リピーターの獲得につながる
・ブランドイメージの向上につながる
・SNSなどを通じてよい口コミが広がる

リピーターの獲得につながる

よい顧客体験を得られることで顧客の満足度は上がり、製品やサービスへの信頼度、愛着度といった顧客ロイヤルティが向上します。すると、その顧客はリピーターとして定着する可能性が高まります。

リピーターとなった顧客は、企業側から販促を働きかけることなく自ら製品やサービスを購入してくれるようになります。リピーターの獲得は、安定した収益につながります。新規顧客がリピーターとして定着するよう、積極的にCXに取り組みましょう。

ブランドイメージの向上につながる

すばらしい顧客体験を提供することで、顧客がブランドのファンとなるケースもあります。製品やサービスへの愛着が湧き、ブランドイメージの向上にもつながります。

ブランドのファンになることで、初回に購入した製品・サービス以外の製品も同じブランドでそろえたいという心理が働き、別の商品やサービスを購入するきっかけにもなるでしょう。他社との差別化を図るうえでもCXはキーになります。

SNSなどを通じてよい口コミが広がる

良質な顧客体験を得た顧客は、SNSなどインターネットサービスを通じて製品・サービスの使用感やブランドに対する思いなど、口コミを発信する可能性があります。

よい口コミが広がることでブランドや製品・サービスに対する認知が向上し、新規顧客の獲得にもつながるでしょう。

ただし、よい口コミだけでなく悪い口コミも拡散されやすいのがSNSです。悪い評価が広がらないためにも、CXを向上させるための取り組みが必須です。

CXを向上させるには

企業にとってさまざまなメリットがあるCXですが、顧客に優良な体験をしてもらうにはどうしたらよいのでしょうか。

CXを向上させるための取り組みは、次のような手順で行います。

1.カスタマージャーニーマップの作成
2.顧客理解のための顧客データ分析
3.KPIの設定

1.カスタマージャーニーマップの作成

CXを向上させるためにはまず、顧客いつ、どんな行動をし、どんな気持ちになるかを検討します。こうした顧客の一連の行動や感情を把握するために、カスタマージャーニーマップを作成します。

カスタマージャーニーマップとは、製品・サービスを購入する際、その前後を通して顧客が経験する一連のプロセスを「ジャーニー(旅)」に例えたフレームワークを言います。

たとえば、顧客がPCを買う場合の行動について、次のように整理します。

1.PCの買い換えを検討しているときに見かけたウェブ広告であるPCに興味を持つ(認知)
2.メーカーサイトや商品比較サイトなどで同スペックの商品を比較しながらリサーチする(興味)
3.メーカーの実店舗や家電量販店で実機を触る(興味)
4.製品を気に入って購入する(購入)
5.使用感がよかったのでSNSなどでレビューする(拡散)

たとえば2(興味)の段階で、「メーカーサイトが見にくく製品の魅力が伝わらない」「実機を触ってみたが店員の接客がよくなかった」といった経験をしてしまうと、購入まで至らない可能性があります。この場合、顧客の期待と実際の体験の差分を改善することで、CXを向上させていきます。

2.顧客理解のための顧客データ分析

カスタマージャーニーマップを使って顧客の行動や感情を理解したら、実際の顧客データを分析していきます。カスタマージャーニーに沿った結果になっているか。なっていなければ、どこを改善すればよいのか、検討しましょう。

3.KPIの設定

CXを向上させるために何らかの施策を行う場合、その施策が実際にCXの向上につながっているかを評価するために、KPIを設定します。どの課題を解決すれば設定したKPIに近づくか、優先順位を決めて施策を実行していきます。

進捗が遅れている日本のCX取り組み状況

IT分野を中心としたリサーチ・アドバイザリ企業のガートナー社が2020年11月、日本のユーザー企業を対象にCXの取り組み状況をリサーチしました。それによると、CXについて「必要だが未検討/進捗が遅い」「CXは必要ない/分からない」と回答した企業が全体の8割弱を占めたそうです。このように、日本国内ではCXが十分に浸透しているとはいえません。この機会にCXに取り組み、他社との差別化を図ってはいかがでしょうか。

 

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