「データ分析のニュータイプ」古野電気が目指す次世代型データドリブン経営とは? 古野電気 峯川和久氏 三上朗氏インタビューVol.2 | | DataVehicle

コラム

「データ分析のニュータイプ」古野電気が目指す次世代型データドリブン経営とは? 古野電気 峯川和久氏 三上朗氏インタビューVol.2

次世代型データドリブン経営に取り組む古野電気株式会社 峯川和久氏 三上朗氏インタビューの後編です。
後編では、驚きのプロジェクトメンバー選定方法や今後の目指す先について詳しくお伺いします。

前編はこちら

プロジェクトメンバー選定からすでにデータを活かして

―現場の方はすごくデータを大事にされていたり、すでにどんどん見て使おうという姿勢が他の会社さんより進んでいるようなイメージなのですが、そうした流れを作ることができたコツなどはありますでしょうか?

峯川 うちは元々が浜営業といいまして、できるだけ漁港の近くに陣取って漁師さんと飲んでニーズを聞く、それが強みだというまさに経験と勘と度胸で、真逆なんですよ。
私が入社したころにはこの仕事はそれだけ飲むかだよ、みたいなのもありましたからね。
これまでのそれを否定はしないです。
でもそれだけじゃないよねというところで、真逆の文化の中で私がおこなったのは、まず燃えやすそうなところに徹底的に火を起こせという指示です。

バーベキューで炭をおこすときに、一面敷き詰めた木炭にガスバーナーで均等に火をくべないですよね?
一番燃えそうなところにまず火を付けて、そこをおこしてその近くに次に燃えそうなものを集めてくる、それを繰り返しているとだんだん全体に火が広がっていく。
つまり燃えそうな人を見つけてきて、データ活用の推進プロジェクトメンバーに入れていきました。
ただ問題点は、人間なので見えづらいんですよ。木ならこれ燃えやすそうとか新聞紙とか着火剤だってわかりやすいですが、人間と言うのはなかなか見えにくい。
それで私たちは何をしたかというと、BIツールを統一して、各部門でどのレイアウトを誰が見ているかが全部リアルタイムにわかる仕組みを作りました。これでどのレイアウトをどの部署の人がどれだけ見ているのか全て統計をとって、それを見ながら、この人なら次のクリエイティブなことをいっても通じるかもしれない、という“燃えそうな人”をデータで探しました。
そのため実際会ったことも喋ったこともない地方の営業マンにも召集令状を出す、という異様な集め方をしましたが、結果的に正解だったと思っています。
私だけでは全く思いつかなかったいいレイアウトが出来たのも事実です。

―プロジェクトを始めるところからすでにデータドリブンだったんですね

峯川 人間関係もなにもまったく関係ないですよ。それくらいデータドリブンにとりくんでいます。

―このプロジェクトの中で達成できたことを教えてください

三上 本当にやりたかった販売分析のところは説明変数が足りなくてうまく行かなかったのですが、出荷前の検査と気象データについての分析は見事にハマりました。
担当者の経験と勘からの予測はあったのですが、それを裏付けることが出来たプラス閾値まで定義をすることができました。
今回結果が出たこと自体も成果ですが、工場が物理的に離れたところにあり今まではこういう相談が我々のところにくるということ自体がありませんでした。
データに関する相談がIT部に気軽にできる文化に変わったところが結構大きいですね。

―部門に関わらずデータのことで困ったことがあったらIT部に相談がくるのですね

三上 月に1回よろず相談会というものをおこなっています。毎月大抵2、3グループはきますね。
もちろん見える化のところでBIツールの表現についてなどもありますが、データを持ってきて、これでなんかできないか?みたいな漠然とした相談も来ます。
最初に私たちのところに相談に来てもらえるというのが、IT部でデータのことをやっていて、自分たちも活用できるかもという認識が全社の中でちゃんとしみわたってきたからだと思いますね。

―データの民主化が進んでいる証拠ですね

峯川 BIツールだけじゃなく今回dataDiverを入れたことによってより動きに変化もあったしドライブもかかっているというのは確実に言えることでしょうね。
たとえ目に見える成果はすぐなくても、スモールサクセス、スモールスタートで進んでいます。
データの活用はそりゃもう果てないですよ。人事もそうだし販売もそうだし、経営全般に必要です。

勘と経験による神がかった営業采配をデータ分析で超える

―これからさらにデータドリブンな経営について進まれると思います 今後の取り組みについても教えてください

峯川 先ほどお話しした既存のBIツールで見られるデータに、国内営業部の販売計画が人ごとなど色々な指標で出ているものがあります。
これを見ると営業はこれまでの経験と勘から、例えば今はサンマが最盛期のはずなので、気仙沼のサンマ漁をやっている船がこれくらいあり、そこにこれくらい売れないとおかしい、みたいな感覚があります。
さらに国内営業部長とかだと、これとこれはセットで売れるはずなのに、なんでここは売れてないのか、営業努力を怠っているんじゃないのか?みたいなことを、このデータを見ながら考えるわけです。
だけどそれってその人たちの経験と勘が全てで、実はデータを組み合わせたらもっと新しいことや気付かなかったことに気付くはずですよね。

以前国内営業部長に神様みたいな方がいたのですが、データ分析をすることによって、その方一人の経験以上の物、うちの会社で今まで未開拓だったものを発見することができたらその神様みたいな国内営業部長の営業采配を超えることが出来るんじゃないかと思いました。
ただ正直まだ有用なデータが足りていない。そのため残念ながら一旦ストップしていますが、諦めていません。
私たちIT部が、客観的俯瞰的な分析をするために変数変更などを柔軟にこなせるデータ分析基盤の構築をし、分析に有用なデータがある程度そろってくると、改めてdataDiverが真に使える状態になると思います。
販売業務のビジネス行動の変革を起こしてゴールに行くというのがこれからですね。

分析単位での集計が必要ということに気付くことができた

―分析のために必要なデータの不足について気付かれたことも大きな一歩ですね

峯川 これまでのデータでもうちょっといけるかなと思っていました。
でも残念ながらあまりいい結果が得られなかったものはやはり軸がずれていたり粒度が違っていたり。

三上 そもそも何のためにというところは、データを作るときに決まっていませんでしたからね。

峯川 今回こちらについて成果は出ませんでしたが、確実な販売データ受注データがもうすでに揃っていた我々にとって、新たに分析単位での集計が必要ということに気付くことができたのは非常に重要な一歩だったと思います。

―このプロジェクトの中で重要なデータ分析やデータ準備、基盤のところに、弊社のツール「dataDiver」「dataExpress」をご採用頂いていますが、ご感想はいかがでしょうか?

三上 一番の感想は科学的根拠に裏付けされた結果が出るというところですね。これはもうストライクだったかなと思っています。
我々はデータの民主化やBIツールで可視化というところの取り組みはずっとしてきましたが、統計的なアプローチはおこなっていませんでした。
データビークルの製品を使い始めて少ししたところで、最初の取り組みの中で違和感がずっとあった原因はそこだった!ということに気づきました。
僕らは統計的アプローチっていうものをずっとやっていなかったので、そこに気付けたというのは大きなターニングポイントだったと思います。
まだ意思決定というところはこれからですが、今の感想、気付きとしてはこのあたりですね。

―では最後に一言お願い致します

峯川 古野電気の創業は戦争で若い人たちが兵隊にいってしまい、人手不足の中で漁獲量を上げるために魚群探知機を開発した、というところからです。
そして私たちはいま実は同じ問題を抱えています。だって少子高齢化でしょう?
漁師を目指す若い人がどんどん減っていく中で、日本の食を支えなきゃいけない。そのためにはもう効率化しかないです。
そういう意味において私と、この会社の創業者である古野兄弟のマインドは一緒です。
となると私がやることはデータで全ての見える化と活用です。そのためにまずは社内データの分析や、様々な軸でデータを使って実際のビジネス、ひいては日本に貢献したいという思いを持っています。
そのために私たちIT部がデータドリブンを推進し、全社でデータを共通言語にしていくことが出来れば、会社としてどうしても発生する歴史的なひずみや人間関係なども突破して、本当の効率化が可能になると思っています。
その実現のために今後もよろしくお願いします。

―本日はありがとうございました

 

 

データ分析や活用、DX推進に関するお悩み、弊社製品の機能についてご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。