観光だけではなく、色々な業態がともに活性化していく/宮崎県高千穂町 町長甲斐宗之氏×西内啓対談 Vol.1 | | DataVehicle

コラム

観光だけではなく、色々な業態がともに活性化していく/宮崎県高千穂町 町長甲斐宗之氏×西内啓対談 Vol.1

データビークルの最高製品責任者であり統計家の西内啓がデータ活用で成果をあげている企業・組織のキーパーソンの方とデータサイエンスの現実について語り合う対談シリーズ。今回の対談相手は宮崎県高千穂町 町長の甲斐宗之氏です。高千穂町は年間100万人を超える観光客が訪れる国内屈指の観光地であり、地域内経済循環を目的に町内の積極的なDX推進に取り組まれ、DX推進の一環としてデータビークルの「オルタナインサイト」を採用していただいております。観光業をはじめとするデータの取組みについてお話を伺います。

観光客は来ているけれど、観光業以外にはあまり恩恵がない

西内 まず簡単に、甲斐町長の経歴と町長に出馬された経緯を教えてください。

甲斐 大学を卒業し自動車関係の技術員として4年ほど働いたあと高千穂に戻り、高千穂町役場に入庁しました。その後20年ほど勤めたあと退職し、今は現職5年目となります。前町長が、次は若い世代が頑張らないといかん、頼むぞ、ということだったので思い切って退職しましたね。職員時代は畜産や広報の仕事もさせていただき、仕事として町内全域のことを知るようになり、その後財政課で地方創生が叫ばれる中で人口ビジョンと総合戦略の策定の中心に関わるうちに、高千穂町の課題を把握しました。それを解決するためには自分も力を尽くしたいという思いがあって選挙に望みました。

西内 これまで高千穂町の経済の活性化というところについて、どのような取り組みをされてこられたのでしょうか。

甲斐 世界農業遺産やユネスコエコパークという世界的なブランドはとったのですが、それをどう観光業に活かすのか。また、世界農業遺産を活かして高千穂町の農産品のブランディングをして価値をあげていきたいと思っていましたが、中々形にするのは難しいなと感じていました。高千穂町は年間100万人を超える観光客が訪れる国内屈指の観光地であるものの、日帰り客が多いことから観光消費額が十分に獲得できていない課題を抱えておりました。色々な業態の皆さんが地方創生の会議で議論する中で、農業とか林業の方々から、「観光客は来ているけれど我々にはあまり恩恵がないよね」との声があったんです。そこで、観光だけではなく色々な業態を繋ぎともに活性化していく、色々な業態をつなぐハブ機能がいるなと思いました。そして昨年、地域商社の高千穂まちづくり公社を立ち上げました。今後はこのまちづくり公社を中心に、物産事業、観光事業、あるいは新たに業を興す起業を支援する組織として、まちづくり公社が連携してしっかり機能を果たしていく必要があるなと考えています。

“観光消費額をどう伸ばすか”に方向転換


▲高千穂峡

西内 これだけ素敵な観光資源があるにもかかわらず中々消費額が伸びていなかったというのはやはり町の経済ということを考える点ではすごく大きな問題ですよね。

甲斐 そうですね。昨年度中に高千穂町では今後9年間の観光振興のあり方を示す観光マスタープランというものを策定したのですが、その中にこれまでのプランと大きな違いがありました。

今までは高千穂町に”年間どれだけの観光客に来てもらうか”というところに重きをおいていたのですが、今回のマスタープランでは“観光消費額をどう伸ばすか”というところに重きを置きました。お金を落として頂ける観光客や来てもらいたい人達に来てもらうためにはどうすればいいか、まさに観光マスタープランで示して目標とした内容と、今回データビークルさんに分析していただいた資料がマッチしていて、それをもとにすることで、観光マスタープランに示した方向に向かって取り組んでいけると思っています。

西内 ありがとうございます。今回一緒に分析をさせて頂いた本プロジェクトでのアンケート設計・調査分析が、データビークルで言うと「オルタナインサイト」というサービスなんです。観光や行政課題って必ずしも答えが含まれているデータが潤沢にあるわけではないので、0からちゃんとリサーチし、行動科学に基づいて分析しレポートをお出ししたのですが、レポートや調査項目などで、面白かったものや役に立ったなというものがあれば教えてください。

甲斐 質問項目がいくつも関連付けて分析されているところですかね。観光客の性別や年齢だけでなく、前後の宿泊先や旅行目的、さらには心理的な動機から「どのような特徴の観光客は現地支出金額が高いのか」が分析されていました。また、その内容が具体的な数値とともに分かりやすく分析結果が示されているので、非常に分かりやすかったです。今後狙っていくターゲットやプロモーションの仕方についても、例えば紙媒体の雑誌を見て来た人が消費額の高い人たちですよというように明確に示してあるので、施策を打ちやすいですね。

西内 実際分析結果って多くの学者たちが行政の人たちにデータ分析結果を見せても、それが伝わらず苦労する部分なんです。今回のレポートはわかりやすさもこだわっているところなんですが、町長が見られてすんなり入ってきたっていうのは町長のリテラシーの高さもあるかもしれませんね。

甲斐 アンケート結果の資料見せて頂いたときに、結果の再現性がクリアやとてもクリアという評価で、レポートにパっとでてくるのはすごいなと思いました。高千穂町ではこれまで旅行に関して色々なアンケートを実施してきましたが、ぼんやりとした方向性しか示すことがなかなか難しいのかなと思っていました。それが、必要な結果はこれだと明確に示してもらえるところがわかりやすい。ぼんやりしたものではなく、みんながパッと見てわかる、我々が目指すべき明確な施策の在り方を示してもらえたのが面白いことだしありがたいことだと思います。

(続きます)

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