エリアマーケティング とは?具体例を元に実践方法を分かりやすく解説 | マーケティング | DataVehicle

コラム

エリアマーケティング とは?具体例を元に実践方法を分かりやすく解説

新たな店舗を出店する際や地域を限定したプロモーション活動を行う際に不可欠な、エリアマーケティング。エリアの特性や需要を的確に把握することにより、企業の競争力を高めることができます。では、どのような方法で、何に注意すれば効果的なエリアマーケティングを実施できるのでしょうか。この記事では、エリアマーケティングの具体例や手順、実施の際の注意点について解説していきます。

エリアマーケティングとは

エリアマーケティングとは、エリアの市場特性を把握・分析し、そのエリアに特化したマーケティングを実施する取り組みです。エリアへの理解が浅いままにビジネスを展開させると、自社の製品・サービスとエリアのニーズがマッチせずに失敗してしまうリスクがあります。

エリアマーケティングを行うメリット

エリアマーケティングを行うことで次のようなメリットが得られます。

●潜在顧客がいるエリアを把握できる
エリアマーケティングを行う上では商圏人口の分析が不可欠です。商圏人口の男女比、年代構成、世帯数、職業などを調査する中で、これまで把握できていなかった、自社の潜在顧客が存在するエリアを発見することができます。

●需要予測・売上予測が立てられる
エリアの調査・分析を進めることで、当該エリアでの需要や自社が出店した場合の売れ行きについて予測が立てられるようになります。

●エリアにとって最適な販売戦略を立てられる
エリアには独自の特性があり、効果的な販売戦略や広報戦略はエリア特性によって異なります。例えば子育て世代が多いエリアと高齢化が進んだエリアでは、需要も効果的なプロモーションも変わってくるでしょうこうしたエリアによるさまざまな違いを明確にできるのは、エリアマーケティングの大きなメリットといえます。

エリアマーケティングはどんなシーンで実施される?

エリアマーケティングが実施されるシーンについて、実施時に心がけるべきポイントと合わせて解説します。

新店舗の出店時

新店舗出店時の商圏分析もエリアマーケティングのひとつです。商圏分析では主に以下について分析し、どのエリアに新店舗を出店するか検討します。

●商圏人口
商圏内の居住者や勤務者の属性、行動を調査し、当該エリアに自社のターゲット層がどれくらい存在しているかを把握します。

●周辺環境
周辺にどんな店や施設があるか、また道路には何が面しているかといった周辺環境を調査します。

●競合の状況
当該エリアの競合店舗について、立地、売り場面積、商品の品揃え、顧客獲得の状況、販促方法などを調査します。

エリアを限定したプロモーション活動

エリアマーケティングを実施するのは新店舗出店時のみではありません。エリアを限定して行われる次のようなプロモーション活動ではエリアマーケティングが不可欠です。

●チラシ配り
チラシ配りを行う場所やチラシを渡す相手について無計画のままに実施しても、効果は薄いでしょう。集客につなげるためには、「店舗へのアクセスが可能な場所で」、「来店してくれそうな客層(自社のターゲット層)に向けて」実施することが重要です。

●看板などの屋外広告
ターゲット層がほとんど通りかからない場所に看板を設置しても、見てもらいたい人には届きません。ターゲット層の目に留まりやすいエリアを絞っての設置が効果的です。

●交通広告
電車やバスなどで掲示する交通広告でも同様です。運行エリアから離れすぎている店やイベントについて広告を出しても、多くの集客は望めないでしょう。また、ビジネスマンが多くを占める電車内で高校生をターゲットにした広告を打っても、十分な効果は得られません。運行エリアや乗客層を分析し、より効果的なプロモーション方法を検討しましょう。

エリアマーケティングの手順

エリアマーケティングは以下の手順で実施します。

1.エリア候補をリストアップする

エリアマーケティングを行う候補地をリストアップします。

  • 自社店舗にアクセスできる範囲内
  • 住宅街
  • 駅前や繁華街
  • 郊外のロードサイド

など、自社戦略に合わせて候補地を絞り込んでいきます。

2.データを収集する

リストアップしたエリアで、生活・行き来する人たちについてのデータを収集します。データ収集には以下の方法があります。

●街頭調査
通行している人に街頭調査を行い、属性や行動についてのデータを収集します。

●外見から判断する
性別や年代、勤め人か学生かなど、声をかけるまでもなくおおよその判断がつく属性についてのデータを集めます。

●データを持っている企業から入手する
携帯電話会社ではユーザーの位置情報データを持っており、人流について把握しています。また電車やバスなどの公共交通機関では、媒体資料として乗客プロフィールなどのデータを持っています。こうした企業から情報を入手する方法もあります。

3.そのエリアで勝負できるか見極める

自社製品の強みや得意とするターゲット層については、これまでの企業活動から明確になっているでしょう。そうした自社の強みを当該エリアで活かしきれるのか、どれくらいの売上が見込めそうなのかを分析していきます。

4.コストを精査する

エリアマーケティングを実施したい候補地が見つかっても、コストがかかりすぎては利益になりません。賃料や広告費用などのコストを精査し、自社の強みを活かせて且つ利益をしっかり出せるエリアを見極めましょう。

エリアマーケティング実施における注意点

エリアマーケティングを実施する際には注意すべきポイントがあります。

代理店頼みにしない

エリアマーケティングを広告代理店に一任しているケースも見られますが、これは好ましくありません。

前述のとおり、エリアマーケティングは新店舗出店時に限らず、既存店での業績改善やよりよい広告活動のため継続的に実施していく性質のものです。企業が経験を積み、独自のノウハウを蓄積しながら勝ちパターンを探っていくことが大切です。

コストの条件を明確にする

コスト設計が曖昧なままエリア調査ばかりを進めてしまうケースがありますが、これではなかなか実施まで踏み込めません。

「コストが〇円以内なら実施する」「××のプロモーションを〇円以内で行えるエリアで実施する」など、コスト面での条件を明確にし、実施の判断基準を持つようにしましょう。

変動に対するアンテナを張り続ける

エリアを取り巻く状況は環境の変化によって大きく変わります。例として、JR渋谷駅の乗降客数の推移について見てみましょう。

渋谷駅は1994年以降、19年連続でJR東日本の駅別乗車人員ランキング3位を保っていましたが、2013年には5位に順位を落としました。この原因として考えられるのが、2013年3月に開始した東急東横線と東京メトロ副都心線の直通運転です。これによって渋谷駅での乗り換え客が減少し、渋谷という街での人流が大きく変わりました。

こうした変動が予測できているといないとでは、マーケティング戦略もまったく違うものになるでしょう。このように、エリアを取り巻く環境は変化するものであると考え、変動に対するアンテナを常に高く張っておくことが大切です。

変化の激しい時代にこそエリアマーケティングに尽力しよう

近年は新型コロナウイルスの流行で人流に大きな変化があり、この先どう変化していくか予測が難しい状況です。こうした中で精緻にエリアマーケティングを行うことは簡単なことではありません。この先も同じ状況が続くという前提は捨て、さまざまな変化を想定しつつ取り組むことが不可欠です。代理店やリサーチ会社頼みのエリアマーケティングから脱却し、企業自身がノウハウを蓄積しながら実施していくことが求められます。

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