未経験からのデータサイエンス導入。データ分析についての「判断の物差し」を共有できたのが収穫 | DataVehicle

事例紹介

未経験からのデータサイエンス導入。データ分析についての「判断の物差し」を共有できたのが収穫

福岡地所株式会社

福岡地所株式会社 ITシステム部 杉山勇三様
株式会社エフ・ジェイホテルズ 本村菜緒様

  • DX人材育成
  • 不動産

福岡地所 ITシステム部 杉山勇三様

「福岡の街をもっと面白くする」というコンセプトを掲げる総合ディベロッパーの福岡地所株式会社。マンションやオフィスビル、商業施設などの管理、ホテル運営などを手掛け、地域の街づくりに貢献する。同社がデータ利活用の初手として取り組んだのがデータビークルの「DX人材育成研修」だ。2か月間のコースを受講したITシステム部の杉山勇三さんと、グループ会社である株式会社エフ・ジェイホテルズの本村菜緒さんにお話を伺う。

データ分析未経験の既存社員が研修受講

——データビークルの研修採用を決定されるまでの経緯を教えてください。

杉山 もともと私たちのチームでは、福岡地所グループ全体のDXやデータ活用をどう進めるべきかという、DX戦略の全体像を検討していました。ところが、データ活用において、分析するデータはあるものの、そのデータを誰が分析するのか…つまり、データサイエンティストをどのように確保するのか?採用するのか?育成するのか?外部の知見を借りるのか…というところで議論が暗礁に乗り上げてしまったのです。そもそもデータ分析を行う場合に、どんな人材が必要で、どんな知識を身につければいいのかという判断材料がない状態でした。

そんなとき、たまたまデータビークルさんとご縁があり、「データサイエンティストを新規に採用するより、論理的に考える素
質のある社員に、(データビークルの提供している)DX人材育成研修を受講してもらえば、早く、かつビジネスに沿ってデータを扱えるようになれる」というお話を伺い納得。役員に、では一度試しにやってみたら?と理解をしてもらうことができました。2021年3月頃のことです。

——どのような方が受講されたのですか?

杉山 2021年4月から2か月間のコースを受講しました。受講者は私を含めて5名。うち3 名が ITシステム部、2 名がグループ会社の事業部門からです。事業部門のメンバーを含めたのは、データビークルさんから「データ分析のメンバーに現場のオペレーションがわかる人がいないと、分析結果から打ち手を検討できない」というアドバイスを受けてのことでした。ホテル部門から推薦された本村さんは、それまでデータ分析や統計についての経験や知識はなかったものの、論理的にビジネスの打ち手を考えられる人ということで今回受講してもらうことになりました。

実務にどう使えるかが見えたら理解が深まっていった

——実際に研修が始まってからの感想をおしえてください。

杉山 受講の際は、先に動画で自習し、その後オンラインでのディスカッションや課題に取り組みます。はじめは課題にそれほど時間はかかりませんでしたが、回が進むにつれて難易度が徐々に上がっていったので、私も含め受講メンバーが課題についてこられるのかを少し心配しました。

本村 はじめは課題を乗り越えるのに一生懸命でした。研修を受けるなかで、業務にデータ分析をどう生かすかが見えはじめてきたころから、理解がどんどん深まっていくのを感じました。課題で使わせていただいたデモのデータも、実際の小売業で使われているもので、実践的で非常にわかりやすかったです。自社の実際のデータを使っても、同じような視点で考えることができそうだという感触を得ました。

——研修が終わった今、どのような感想をお持ちでしょうか?

本村 視野が広がったというのが一番大きいですね。今までは、ゲスト目線でしかホテルのプランを考えることができませんでした。ですが、研修での「バイヤーの視点で考える」という課題を経てから、業務の様々なところで、ゲスト目線に加えて新しい視点からアイデアを出せるようになったと実感しています。

一番面白かったのは、第3回の「施策立案演習」です。与えられたデータを分析し、そこから新しい施策を立案するというものなのですが、5人が同じデータを見ているのにも関わらず、まったく違ういろいろな施策が出てきたのは興味深かったです。

杉山  「施策立案演習」は確かに面白かったですね。無難な回答ではなくて、面白いアイデアを出そうと考えたので、模範回答からはかけ離れてしまいましたが、非常に前向きに取り組むことができました。

——事前に動画を視聴して自習し、オンラインでディスカッションをするという進め方はいかがでしたか?

本村 動画を見て予習して、集合研修で模範解答とフィードバックをしていただく流れは、とても分かりやすかったです。動画を視聴して理解を深め、かつ集合研修で分からなかった点も、終了後に質問ができたのはとてもよかったと感じています。

——受講してよかったと思ったポイントはどこでしょうか?

杉山 これまで診断的なデータ分析に取り組んだことがない弊社は、分析担当者の素養や、持つべき知識について、まったく判断できない状況でした。今回の受講を機に、その判断の物差しを社内に持つことができたのは、非常に大きな収穫だったと思います。

本村さんはじめ受講者が業務の中で分析を実施していくのも楽しみです。実務をやっていただいている方には、ぜひ一度受けていただきたい内容と感じる研修でした。

研修内容をホテル運営の実務に活かしていく

——今後、この研修で学んだことを、どのように業務に活かしたいと思われますか?

株式会社エフ・ジェイホテルズ 本村菜緒様

本村 ホテルのプラン造成や、レートコントロールに活かしたいと考えています。プラン造成というのは、旅行会社などのウェブサイトなどで、ホテルを予約するときに表示されるプランの設計のことです。たとえばプランに何かしらの特典をつけたり、いろいろと付加価値を付けてご予約をいただこうとするのですが、これまでは勘と経験で造成することが少なくありませんでした。ですが、今回の研修を受けて、まずはこれまでのデータを分析し、顧客の特性やニーズを調べるところからスタートしたほうが、よりターゲットにあったプランを造成できるのではないかと考えています。

レートコントロールは、時期やイベントの有無に基づいてホテルの料金を変動させることです。今後はイベントがあった日や年末年始にどれぐらいの価格を提示し、どれぐらいのご予約があったのかをデータ化することで、集客と利益のバランスを取った値付けをすることができるようになるのではないかと思っています。

杉山 ホテル事業では、今データ分析の知識を持っているのが本村さんだけなので、もう2~3名には受講してもらって、体制を作っていきたいと考えています。

それとデータ分析は飽くまで手段で、ともすると「なんのためにやるのか」が抜けてしまいがちですので、会社全体として「そもそも課題は何なのか、それをどうやって解決していくのか」ということを考えていく機会を作れたらと思っています。

弊社の経営トップは、ずっと「福岡を面白くする」と言いつづけています。そして「新しいもの」は面白いんですよね。ですから弊社は、新しいものや面白いものに対するモチベーションが非常に高いように思います。今回の取り組みもその「新しいもの」の一つなのかもしれません。

——いろいろな展開が期待できそうですね。本日はありがとうございました。

福岡地所株式会社について
年商 204億円(2021年5月期)
従業員数 188名
創業 1961年

※この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の⼀部は概数で記述しています。

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