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  • データサイエンス実践講座

第20回:「データが価値を生む好循環」を成功させるには

本連載も今回も含めて残りあと2回となりました。

 

ここまでアウトカム、解析単位、説明変数といった観点から分析方針を立て、また蓄積されたデータを分析できる状態へ持って行くといったデータ整備についてもお話しました。そして分析結果が出たら、アウトカムに関係する説明変数を「変える」か「狙いをずらす」か「最適化する」か、といったやり方で施策を考えます。

 

「データが価値を生む好循環」

 

それもこれも、本連載の最初に話した「データが価値を生む好循環」を実践するためにほかなりません。データが正しく分析できる状態であり、そして分析がビジネスの事情から乖離したとんちんかんなものにならず、そして出てきた分析結果から適切な意思決定がなされ、現場が動き、さらには現場で行なわれたことがどのような成果を生んだか、データが蓄積されて分析される。

 

そうした循環を何度も回すことができればデータは価値を生み、逆にどこかで引っかかってしまえば何の価値も生みません。

 

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最小限のチームから「データが価値を生む好循環」を成功させる

 

ではこのようなサイクルをまだ一度も上手く回せていない会社はどのようにすればよいのでしょうか?

 

私たちの考えでは、このような会社にとって必要なのは、まず最小限のチームで、一周でもこのサイクルに成功させることです。最小限のチームとは、以下のような4つのポジションで構成されます。

 

プロジェクトチームの最小構成

 

 

最小限のデータ分析プロジェクトチームは、4つのポジションから構成される

 

まず、分析結果から意思決定を行ない、社内外の調整を行ない責任を取れる「ボス」がいなければ、いくら素晴らしい分析結果があっても活かされることはありません。誰が「Yes」と言えば施策が取られるのか、社内の管理職のうち誰であればこうした意思決定を行なうことができて、そういった人の権限は社内のどういう領域に及ぶのか。分析プロジェクトを始めるにあたり、最初の重要なステップはこのボス探しです。

 

そしてボスの管理するビジネス領域の中で、人・物・お金が具体的にどう動いているか、そしてその肌感覚を持った上で分析結果はどう解釈されるか、という現場のエキスパートも、最初からプロジェクトチームに巻き込んでおきましょう。忙しいボスの代わりに、後述の分析担当者はこのエキスパートと頻繁にコミュニケーションを取ることになります。

 

また現場の事情だけでなく、データについても分析担当者は頻繁に中身の確認や追加データをどう入手すべきかの相談を行なう必要があります。この点に関する役割を我々はデータマネージャーと呼んでおり、そして社内に蓄積されたデータが、どのようなところから発生し、どのようなシステムで、そして誰の権限で管理されているか、ということに詳しい、情報システム部門の担当者なども巻き込んでおきましょう。

 

そして最後に分析担当者ですが、数学に詳しいかどうか、というよりも、重要なことは、エキスパートやデータマネージャーと頻繁にコミュニケーションを取り、何度も分析に関するトライアンドエラーを重ねられるだけの、最低限のITとハードワークが苦にならないことの方が重要になります。弊社製品も含めて分析ツールは日進月歩でどんどん使いやすくなりますが、相対的に分析結果やデータの中身を解釈したり理解する、という点こそが分析担当者の重要な役割になりつつあるのです。

 

「データ分析は足し算の仕事ではなくかけ算の仕事」

 

分析プロジェクトを進めるにあたり、最低限このようなメンバーが揃っていなければいけませんし、この中に誰か一人でも上記の基準を満たさないようなものが含まれていたら、それもやはりサイクルを止めてしまうリスクになります。

 

よく私が言うのは「データ分析は足し算の仕事ではなくかけ算の仕事」ということであり、モチベーションや果たすべき役割に対する能力がゼロに近い人間が一人でもメンバーに含まれていれば、他の人がどれだけ優れていても「ゼロ倍」すなわち全くの無に帰してしまいます。

 

全社的に、とか、大々的に、と考えることよりも、まずは社内の中でこのポジションの適性を考えて、最小限のチームから少しずつ領域を広げてくるようなやり方が、私たちのおすすめです。